ふじこ

サンタクロースになった少年のふじこのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

ファミリー層向けのファンタジーチックで は~い良かったねぇ みたいな感じの映画を勝手に想像していたけれど、思いの外良かった。映画の長さも丁度良い。田舎の村の少年ニコラスの一生を追った作品。

幼い自分だけを残して両親も妹も逝ってしまうのだけれど、そこから色んな場所で愛を拾って愛に拾われて生き抜くお話だった。

貧しい村で誰しも余裕がない生活の中、1年交代で少年の面倒をみてくれる家々、そこで出来た親友、毎年クリスマスに自分で作った木細工を家族が亡くなった湖に沈める。
最初は子供たちに怖がられ、酷い言葉を吐く男だった筈の木工商人イーサッキ。彼との生活と教え、それから別れ。
彼がニコラスに残したお金と、親友とその娘との秘密の共有。

悲劇に転落した少年の手にどんどん愛が握られて、立派な髭が生える頃に今度はその愛を沢山の人に配り歩くことで"サンタクロースになった少年"と。

ファミリー層向けでも間違いないけれど、暖かい気持ちになりたいなぁって時に、まさに冬にぴったりのよいお話だったなぁ。
特に最悪だったイーサッキとの出会いから、徐々に打ち解けて不器用に歩み寄り、お互いとっくの昔に失くしてしまった筈の"家族の愛"すら何時の間にかまた手にしていた事に別れのその時まで言葉にしたりはしなかったのかなぁ。そうであっても過ごした月日は本物だし、替わりにニコラスに残したあの宝飾品がその証なのだろうけれども。切なくてキュンとしてしまった。
親友もその娘も良い子だったし、思わぬよき作品に出会えて良かった。
ふじこ

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