シンプルな設定の中で、登場人物それぞれの葛藤に感情移入できるジブリの隠れ名作。
わがままで無鉄砲な女の子と、それに振り回されながらも、次に何が出てくるのか、どこか楽しみにしてしまう男の子という、「打ち上げ花火、下から見るか？横から見るか？」にも似た設定だが、こちらの方が心理描写が良くも悪くも丁寧。さらに、もう1人キャストを加えることで、先が見えづらくなっている。
「都会から転校してきた女の子」に惹かれる気持ちは、東京育ちの自分には分からないが、「どこか、わけの分からないところに連れて行ってくれるもの」について行きたくなる気持ちは誰しもが持っているのではなかろうか。
松野もそうだが、「おもしれぇ女」「おもしれぇ男」には抗えない何かがある。
杜崎目線で腑に落ちないシーンや、里伽子のセリフに対するモヤモヤを、後半で丁寧に解消してくれているのも好きなポイント。
