大槻

コーダ あいのうたの大槻のレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
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手話と歌の歌詞を覚えたくなる映画。

泣いた。「主人公の成長により、家族が変化していく映画」のような書かれ方が散見されるが、どちらかというと「家族の成長により、主人公が変化していく映画」に見えた。実は主人公の根本の思想は冒頭から一貫している。

娘の夢応援してやれよ!という気持ちと、自分がろう者だったらそれどころではないのだろうという二律背反する気持ちが主人公への感情移入を加速させる。
一方で、娘が生まれた時に耳が聞こえると知って悲嘆したり、他の人と話せないというだけでモチベーションをへし折られたりといった、ろう者側の家族の気持ちにも共感できるのは、「障害」が誰しもが持つ「自分の欠点」のデフォルメにすぎないからなのだと思う。

誰もが自分にはないものを持っていて、その有無に一喜一憂するものだが、その後の行動によって少なくとも自分の感情くらいはコントロールできるのだと改めて学んだ。

この後の家族の大変さを思うと胸が痛いが、まずはハッピーエンドだと思いたい。

才能のある主人公、昔からの大切な人たち、恋人との喧嘩、才能を見出してくれる恩師と、グッド・ウィル・ハンティングとかなり近い構成だが、違いはやはり「どちらの成長にフォーカスしているか」か。

「もう疲れた!」の手話がかっこよかった。
大槻

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