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ペトラ・フォン・カントの苦い涙のotomのレビュー・感想・評価

5.0
寝室兼仕事場な一室(お洒落)だけで繰り広げられるいびつ過ぎな愛憎劇。主人公ペトラ曰く『人間は他人を必要とするけども、共生の仕方を知らない』とこれで話を的確に説明しつつ、特大ブーメランが刺さりまくる具合。男性の支配を拒絶しながら、相手の女性を支配できない苦しみで悶絶するのが軸でありつつ、オチを観た後だと物言わぬ助手マレーネ目線で全く異なる作品になる。声の代わりの如くなタイプライター打鍵音の印象も変わる二度美味しい仕上がり。いちいち構図が決まりまくりなのが見事なのは勿論な事、劇伴無しの作中においてプラターズほかの効果的使い方がシビれる。いやまぁしかし、色んな愛の形があるもんだ。傑作。
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