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アドベンチャーランドへようこそのuedashinjiのレビュー・感想・評価

2.5
ビル・ヘイダーの園長が(この監督の前作「スーパーバッド」と同じく)中心人物ではないのに、いちばん魅力的に造形されていて、遊園地にふさわしい「ゆるキャラ」ナイズされた大人を楽しげに演じている。妻クリステン・ウィグに惚れられているというのが、とてもいい。夏が終わってバイト代を受け取りに来た主人公(ジェシー・アイゼンバーグ)に、その園長が「来年も来るか」と言い、主人公は言葉をにごす。このとき圧倒的な情感が来るはずなのに来ないのは、この場所を後にすることにバイト青年にはなんの痛みもないからで、うーん、この青年がもっと園長と強く結びつくようには作れなかったか、たとえば、園長が、青年の経済的ピンチにすごく同情しているとかさ。じっさいのところ、この話、主人公が本当に感情を動かすようなことは何も起こっておらず、なんだかなと思うのだが、このフワフワ感が、好きな人は好きなのか。

ロケ地である遊園地は、全米美しくて古い遊園地ベスト10に選ばれるような、それ自体ものすごく「絵がもつ」場所で、しかも黄色とか青のフィルターをかけまくっているので、まあ、きれいなこときれいなこと。音楽も、クラウデッド・ハウスがかかった時は「うわ」と思ったし、花火もあがるし、だから、まあ、映画に似たものには、カラオケビデオとか、MVとか、AVとかあって、そういえば、映画に似たAVを作るのが得意な宇宙企画という会社があったなあ(昔話)、この映画は、そういう映画に似たもの、とりわけ、宇宙企画のAVに似ている。
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