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攻撃のhrt2308のレビュー・感想・評価

攻撃(1956年製作の映画)
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長瀬記念ホール OZU

長年観たかった作品をようやく観賞。
舞台は1944年第二次大戦、独軍の拠点を攻撃する米軍部隊。コスタ中尉(ジャック・パランス)は、上官のクーニー大尉(エディ・アルバート)の無能な指揮によって部下を失い彼への怒りに満ちていた。バートレット大佐(リー・マーヴィン)に訴えるがクーニーの父親は同郷の有力者であり取り合ってもらえない。そこに新たな攻撃命令が下され、コスタの部隊はまたしても先陣を切るが、臆病なクーニーは援護せず、コスタたちは多数の敵を前に孤立してしまう。ここでも裏切られたコスタはどうしてもクーニーに復讐するためにも必死の撤退を試みる、、、。

いつもは部下に威張りくさっているクーニー大尉が肝心の戦場では己の命を惜しむあまり部下を見捨てる様がこれでもかと描かれる。こんな悪いやつはめったいない最低の人物(エディ・アルバートが憎々しく上手い)。無能と知っているのに自分の保身のため彼を庇い続けるバートレット大佐もひどい。こんな中でも前線で戦い続けるコスタ中尉があわれだ。彼の怒りが頂点に達するのは当然だ。悪役が多いジャック・パランスはここでは完全に感情移入できる正しい人を熱演する。

戦争という生死をかける場所でさえ、欲望にまみれた人間が存在するのがおぞましい。愚かな人間に対するロバート・アルドリッチの怒りが全面的に出た力作。
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