攻撃の作品情報・感想・評価

「攻撃」に投稿された感想・評価

moku

mokuの感想・評価

5.0
ジャック・パランスの最後の顔は忘れられないねぇ。
エディ・アルバートのクズで卑小でダメダメな大尉は本当に憎らしいんだけど、その性格の由来する所も描かれて哀れ。
ハリー(ウイリアム・スミサーズ)が最後に示す真っ直ぐさも余韻を残す。
csm

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5.0
最低のクソ野郎だと思ってたけど、ふわふわルームシューズ抱いて、30になったある朝“いつか”なんて来ないと知ったとか言われちゃ泣かずにいられない。もちろん地獄に堕ちてもやんなきゃいけないヤツはいる。
shibamike

shibamikeの感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

柴三毛「"ロバと、ある土日"の映画?」

金曜の夜、岡山県に住む小学3年生タクオの家に、数年ぶりにアフリカの叔父さんがやって来た。叔父さんはアフリカで動物の密猟をして生計を立てており、国際指名手配中の本物の悪党だ。叔父さんは、ロバを連れていた。

叔父さん「今週の土日だけでいいから、このロバを預かってくれないか?」

そう言い残すと叔父さんはロバをタクオの家に置き去りにして、さっさと消え去ってしまった。
タクオがある土日に過ごすロバとの物語が幕を開ける…

みたいな映画かと思ったら、そうではなく、「ロバート・アルドリッチの映画」であった。しかもタイトル「攻撃」だし。


昨日、ネットのニュースでエマ・ワトソンが「男性もジェンダー・ステレオタイプから自由になるべき」とかの発言をして話題になっているというのを見た。要するに、"男は逞しく強くなくてはいけない、と思うのやめな!"ということであろう。
本作ではまさにこの"男は強くなくちゃいけない"と思い続ける割りに、ごまかしごまかし生きてきた男が悲劇を巻き起こす。

1944年、フランスのどこか。ドイツの侵略に耐えるフランス・アメリカ軍が映画の主要メンバー。

アルドリッチ監督の映画は、一人の訳あり人間(それも人間の弱さ故の変人)が騒動を巻き起こすというのが特徴なのかも、と思った。
本作での訳あり人間は"クーニー大尉"。
父親が判事という上級人種らしく、そのためかどうかは不明であるが、クーニーは父親から「立派な男になれ!」と虐待まがいの教育を受けてきたせいで、外面ばかり取り繕い、父親の機嫌ばかり気にするクズ人間になってしまった。
上司が無能だと部下が苦労するというのは、サラリーマン界の常識であるが(自分の場合は部下である自分が無能なので、上司が苦労している)、この映画ではそれが会社ではなく戦場であり、部下である兵士達は命がけ。

クーニーは普段、威張り腐っているが、命のかかった厳しい場面になると、その本性を現す。敵の猛攻に絶体絶命となった兵士達が、クーニーに援軍を要請するのであるが、クーニーは援軍出動に踏み切れない。
ピンチである味方の援護に向かって、自分の身に危険が迫ると考えると、臆病の気持ちで胸が一杯になり、腰がひけてしまうクーニーなのであった。
味方の兵士達は援護なく無残に死んでしまい、軍内の士気も下がる一方。
クーニーは責任を追及されると「あんな無謀な状況では助けようがない!」などと証拠が無いことをいいことに責任逃れの一点張り。
こんなアンポンタンがどうして出世してるのか?と疑問に思う観客多数であるが、ちゃんと理由があった。

クーニーは父親が判事と社会的に影響力がある故、その縁故で甘い汁を吸おうとする不届き者がおり、そいつの策略によってクーニーはそこそこの地位についているのであった。その不届き者の大佐をリー・マーヴィンが演じているのであるが、やっぱこの人良い!好き!ゴリラ顔!

クーニーの人間性について考えるだけで、結構面白いのであるが、それ以外の部分でも本作は見所一杯。英雄コスタ中尉が敵の潜む廃墟の街へ果敢に攻め混み、ボロい一軒家に追い詰められる密室籠城や、終盤の教会地下でクーニーが急に調子に乗るもあっけなく殺されるシーンも面白かった。
映画は全体的に面白かったのであるが、登場人物達にあまり感情移入できなかった。

クーニーは映画終盤で一時錯乱し、本当の心の内を明かす。
「30歳になったある朝、気付いたんだ。(自分が勇敢になる)"いつか"なんて絶対にやってこないことを。」結構自分も図星で、ギクリとしたが、"いつか"が来ないからどうだと言うのか!とやせ我慢して生きていくしかない。

エマ・ワトソンは上述の発言をして、一部炎上しているらしい。それはエマ・ワトソンの歴代のボーイフレンド達がいわゆるジェンダー・ステレオタイプの男性ばかりだからというためらしいが、それは別にしょうがないんじゃないであろうか、と自分はエマ・ワトソンに媚びておく。
hrt2308

hrt2308の感想・評価

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長瀬記念ホール OZU

長年観たかった作品をようやく観賞。
舞台は1944年第二次大戦、独軍の拠点を攻撃する米軍部隊。コスタ中尉(ジャック・パランス)は、上官のクーニー大尉(エディ・アルバート)の無能な指揮によって部下を失い彼への怒りに満ちていた。バートレット大佐(リー・マーヴィン)に訴えるがクーニーの父親は同郷の有力者であり取り合ってもらえない。そこに新たな攻撃命令が下され、コスタの部隊はまたしても先陣を切るが、臆病なクーニーは援護せず、コスタたちは多数の敵を前に孤立してしまう。ここでも裏切られたコスタはどうしてもクーニーに復讐するためにも必死の撤退を試みる、、、。

いつもは部下に威張りくさっているクーニー大尉が肝心の戦場では己の命を惜しむあまり部下を見捨てる様がこれでもかと描かれる。こんな悪いやつはめったいない最低の人物(エディ・アルバートが憎々しく上手い)。無能と知っているのに自分の保身のため彼を庇い続けるバートレット大佐もひどい。こんな中でも前線で戦い続けるコスタ中尉があわれだ。彼の怒りが頂点に達するのは当然だ。悪役が多いジャック・パランスはここでは完全に感情移入できる正しい人を熱演する。

戦争という生死をかける場所でさえ、欲望にまみれた人間が存在するのがおぞましい。愚かな人間に対するロバート・アルドリッチの怒りが全面的に出た力作。
PFFでアルドリッチ『攻撃』。後年のペキンパー『戦争のはらわた』を思わせる物語。
ジャック・パランスという俳優の顔は生涯忘れないだろう。あれは死神の顔だった。そしてエディ・アルバートの卑小さに泣かされる。生きる根性も死ぬ根性もない。俺にも「いつか」は来なかったよ。
クレーンショットで瓦礫の全景が映るときの感動。
shatoshan

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4.3
十字路戦のドイツ戦車とジャックバランスの正面切り返し、息ができない…
大尉の臆病さを深く掘り下げる一方で、ジャックその他をヒロイックに描きすぎないことがラストのカタルシスをよりリアルなものにしている
MNRTJM

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4.5
モノクロ、スタンダードサイズの戦争映画にここまで心を揺さぶられるとは夢にも思わなかった。たぶんこの先忘れることなどないであろう悪役の造形、死に顔に刻まれた男の無念、狭いスクリーンから飛び出して観る者に深く突き刺さるかのよう。

第40回ぴあフィルムフェスティバル

招待作品部門
女も男もカッコいい! 今こそアルドリッチ
ジャック・パランスが廃墟の街で戦車に詰め寄られて、思わず背後にあったドアだけの壁のドアノブを回す。回しても回しても開かずについにはドアノブがボロっともげてしまいその後パランスは戦車の下敷きに。まるでドリフのコントのような場面だが一切笑う隙のない迫力。

エディ・アルバートが部下に追い詰められて、逆ギレののち、ふかふかのルームシューズを抱きしめながらベッドに倒れこむ。とことんクズで卑劣で幼稚なエディ・アルバート大尉に名誉の戦死を🇺🇸
エディ・アルバートのねちっこいキャラ造形!いかにもアルドリッチ!
戦場で泣き出してベッドに入るシーンの醜態はそれまで重ねてきたヘイト感情すら収めたくなる代物だが、
そこで死んだと思われたジャック・パランスが扉を跳ね除けて現れることで「やっぱこいつは殺すべきだな」と再び思わせるのがねー、めちゃくちゃ熱い。

戦車との戦いの血みどろぶりはすごいですよ。『戦場のはらわた』より上だと思う。
ハリウッドの中でも作家主義的なアルドリッチ。終戦10年ほどで内部告発な映画を作るとは、批判されたろうな。でもやるのがアルドリッチ流だ。
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