攻撃の作品情報・感想・評価

「攻撃」に投稿された感想・評価

しゅう

しゅうの感想・評価

4.3

このレビューはネタバレを含みます

ザ・シネマにて字幕版を鑑賞。

第一次世界大戦末期のヨーロッパ戦線が舞台の戦争映画だが、戦闘描写自体は「ハクソー・リッジ」を観た後では牧歌的にすら感じられる。

だが、この映画の醍醐味はその間に繰り広げられる男達の人間ドラマにあって、元は舞台劇だけに緊迫した台詞の応酬には唸らされる。

特に出色なのは、その無能さと卑劣さ故に部隊を危機に陥れるクーニー大尉の人物造形。

彼は、幼い頃から地元の有力者である父親に「強い男」である事を強要され、その意向で男性性の極致である軍人(州兵)になる。

だが、30歳にして父親が望むような「強い男」にはなれない事を悟り、以後は強い人間の腰巾着として振る舞う事で自分の「男性性」の欠如を糊塗してきた。

それでも、平和な時代・場所であれば少々厄介な奴ぐらいで済まされた筈が、偶々州兵までが最前線に駆り出される大戦に巡り合ったばかりに、自分の身の丈を遥かに超えた責任に押し潰されて、ひたすら保身に走らざるを得なくなる。

彼の臆病さから友軍の多くの兵士が命を失ったのは事実だが、非人間的な戦場において勇敢さを貫く鉄血の男コスタ中尉よりも、人間的な弱さを抑えきれないクーニー大尉の方に、平和な時代のヤワな男としてはシンパシーを感じた。
あまりにも自国の軍隊を批判したストーリーであるゆえ、アメリカ軍から戦車や武器の借用ができなかったという曰く因縁つきの映画である。

今まで観た戦争映画の中では、本作ほど強烈な映画はお目にかかったことがない。

その大きな理由は、現代でも通じる普遍的なテーマと、主役ジャック・パランスの鬼の形相である。

このテーマとは、結局、上の人間の私利私欲によって、いつも詰め腹切らされるのは下の人間たちだということ。だから「半沢直樹」があれだけバカ当たりしたのだ。

今だって社会に出れば、本作のエディ・アルバートやリー・マーヴィンのようなタイプの上司はざらにいる。

それが平時ならまだ許せるが、人の生き死にするのが当たり前のような状況になった時、優柔不断や己のエゴで無惨にも死地に追いやられる部下にとってはとても堪ったものではない。

ラストのパランスの形相の凄まじさがそれを雄弁にも物語っている。これは単なる恨みを残した顔という代物ではない、声なき弱者たちの慟哭そのものである。
法一

法一の感想・評価

4.1
 リー・マーヴィンが出演するアルドリッチ作品で外れるわけがない。しかも主演がジャック・パランス。一人でアルドリッチ的な漢イズムを背負って、エディー・アルバートの臆病と対立するのだが、その対立を俯瞰するリー・マーヴィンはやはり一段高次元のキャラクター。そう、本当に撃たねばならないのはそこだ。わかっちゃいるんだが。
記録。
ロバート・アルドリッチが反戦を描いた戦争映画。
ジャック・パランスやエディ・アルバート、リー・マーヴィンと豪華俳優で埋め尽くされている。

この映画は女性が一切出て来ないThe漢の映画である。ラストは重くやるせない気持ちなるが、この映画は観ておくべき映画である。
エディ・アルバート演じるクーニー大尉のセリフが一番いい。
ずっと目が覚めたら何か変わると思ってた、そしたら30歳になっていた。
そしてジャック・パランス。見所はこの二人。

なんでクーニー大尉のこのセリフが好きかって考えると、クーニー大尉がヒキコモリみたいに思えてたからな気がする。
安全な基地で無茶な指令を出す無能上司とそれにキレる部下の兵士という構図は反体制っぽいけど、部屋にこもりっぱなしの男がこういうこと言い出したら、そう見えちゃったんだよな。
KANA

KANAの感想・評価

3.6
第二次世界大戦中のヨーロッパ戦線を背景に、軍隊内部を告発したアルドリッチ作品。アルドリッチといえば傑作『何がジェーンに起こったか?』しか観たことなかったけど、本来は男臭い反骨精神溢れる映画で定評があるそうで。

戦場では出来損ないの上官を持つ部下たちは死ぬ運命にある。そういう意味ではこれは反戦映画といえる。と同時に、わがままな上司と振り回される部下たちの葛藤を描いた普遍的な人間ドラマでもある。
バートレット大佐、クーニー大尉、コスタ中尉、ウードラフ中尉の絡み合う人間模様はホントにドロドロしていてむしろ敵国に対する思い以上にも感じた。
実際いちばんのインパクトはドイツ軍との戦闘シーンよりも何よりもコスタ中尉(ジャック・パランス)の反骨魂。最期の無念の表情の凄まじいこと!

邦題が似てるキューブリックの『突撃』(これあんまりキューブリックらしくない作品だけど)と内容(コア)も似てる気がしてならない…。ともあれ、こういう骨太作品も大好き。
田中元

田中元の感想・評価

3.6
クーニー最低!という印象を持たざるを得ないのだが、しかし反戦的立場から観ると臆病風に吹かれる姿こそアリなんじゃないのかな? 男らしさなんて糞食らえ! などと思ったりして、おもしろい映画だけど思想的立ち位置的には微妙な気がします。
TaiRa

TaiRaの感想・評価

5.0
戦争における本当の敵は無能な上官だ、という潔さ。

地を張ってでもブチ殺したい、という鬼気迫る演技。

人間対戦車の迫力。まさにアルドリッチの反骨男塾。