魂の孤独。誰しもが抱える深い暗闇。優れた文学の多くも描いてきたものだ。
本作もそんな作品。映像を通して心の空洞を優しくなぞる。カミュやボーが引用されるが、一教師の心象風景と見事に同期する。
そして子どもたち(学校に通うコもストリートキッズの女のコも等しく)や教師たちも皆、その点においては変わらない。
ストリートキッズからもらった安物の指輪を大事に身につける教師の姿には一縷の透明な救いを感じる。そんな些細な他者とのコミットメントこそが、デタッチメントを和らげる細い糸かもしれない。特に文学を愛するものにはきっと強く刺さる名作だ。