イチロヲ

江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者のイチロヲのレビュー・感想・評価

4.5
下宿の一室を借りて秘密裏のうちに情欲を貪っている有閑夫人(宮下順子)が、屋根裏を散策する下宿人(石橋蓮司)と歩調を合わせていく。江戸川乱歩の同名小説を映像化している、日活ロマンポルノ。筆者は原作を読了済み。

下宿人の立ち位置は原作とほぼ同じ。退屈な日常からの脱却を目指すうちに、「タブーに触れることの歓び」を覚えてしまう。一方、ヒロインの宮下順子は、挿話「人間椅子」の中心人物であり、必殺技「正常位からの三角絞め」で恍惚を呼び覚ましていく。

石橋蓮司の下宿と宮下順子の邸宅を場面転換させながら、ふたりの距離が縮まっていく様子を描いていくスタイル。大正時代の雰囲気作りに秀でており、前衛芸術家(渡辺とく子)の部屋に、なぜかルネ・マグリットの絵画が飾られている。

後半部からは、一気に怪奇映画のテイストへと転調。下宿の女中(田島はるか)が、最後の最後で「Let it go!(流れに沿って突き進め)」に着地するところが絶品。ゴミが残された夢の島が映像に収められているため、貴重映像の側面を垣間見ることもできる。
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