雷電

オンリー・ゴッドの雷電のレビュー・感想・評価

オンリー・ゴッド(2013年製作の映画)
2.9
ニコラス・W・レフン監督とライアン・ゴズリングのカップリングで贈る本作。
過去作同じカップリングの「ドライブ」が個人的に刺さりまくっていたことで非常に楽しみにしていたのだが、悲しいかな、過去作があまりに良すぎたせいでハードルを上げすぎてしまっていたのかもしれない。

前述した「ドライブ」同様、圧倒的なバイオレンスとフィルムの色味というのは監督らしさを色濃く反映しておりその点は非常によかったのだが、「ドライブ」よりも脚本部分での説明の省略が非常に多いため、完全に見る人を選ぶ作品の仕上がり。
監督自身も本作を製作中上手くいかず苦悩して方向性を見失っていたらしいが、それが間違いなく作品に出てしまっているという印象。
観客に見切りをつけて作家性という部分に全振りしているという意味では監督が本来作りたいものというのは本作のようなものなのかもしれないが、それでも映画という娯楽媒体であるから、ある程度の商業的部分まで考えて折り合いをつけて作品を作らなければいけないわけで、そういうことを考えると映画制作と一度成功した後の作品作りの難しさというものを感じてしまう。

作品はとにかくジュリアンの母親であるクリスタルの自己中心さが極めて鼻につく。ジュリアンは本来とても穏やかで優しい人間であるだろうにこの親のせいでこうした道を選ばざるおえなくなっている。そう考えるとつくづく可哀想な気持ちになってくる。
ジュリアン役のライアン・ゴズリングは相変わらずとてもかっこいいのでそれを目的に本作を観賞するのも良いかもしれない。
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