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エロスは甘き香りのbluetokyoのレビュー・感想・評価

エロスは甘き香り(1973年製作の映画)
1.6
注:作中に生きたブタの首を切断するシーンがあるので、そういうのが苦手な人は注意した方がいい。
懐かしい。子どものころ、行ったことがある。記憶の中では、あんなにぼろくなかったような気がするけど、やっぱりぼろかったんだな。オープニングの看板だけ出ているレストラン、いまでいうファミレスみたいな店でピザも食べた。旨いかどうか覚えていない。アメリカ人もけっこうまだ住んでいて、というより、アメリカ人がほとんだったような記憶だけど。
某サイトのあらすじを見ると、えっ、こんな話だったっけ、と思ってしまう。シナリオを参考にしたのかも。もともとはそういうしっかりした筋があったのだろうか。
藤田敏八監督の作品はあまり好きではない。スローなブギはよかったが。役者の方がだんぜん向いていると思う。自意識過剰過ぎる。
冒頭は、浩一カメラマンが意気揚々と横田の米軍払い下げ住宅地に現れるところから。映画世界を構築しているのは、このオープニングを見ても、浩一なのだが、それが、監督自身であるために、意識してしまって、変な撮り方をしているのだ。
自由(どういう自由か、抽象的なものだろう)を手に入れて、桃井かおり演じる悦子の家に入ってくる。とくに知り合いではないけど、怖いもの知らずなので、家に入ってしまうのだ。なぜか、悦子は浩一を受け入れ、さらに、昭、雪絵の夫婦も引っ越してきてしまう。
共通しているのが、男、二人が、カネにならない、カメラマン、漫画家であること。つまり、ヒモなのだ。自由を手に入れた男、二人、なのに、家に養われているという存在が、二人を追い詰めていく。ブタの首を切り落としたり、ワイルドなことをやったとしても、家に帰れば、頬をひっぱたかれるだけの存在でしかない。タイトルのエロスは甘き香り、というのは、甘い罠に引っ掛かって捕まった野生動物、という感じだろうか。
行き詰まった浩一は、結局は、悦子に、もう出て行くと言って出て行こうとしたとき、昭が包丁を持って部屋に入ってくる。(なぜかさっぱりわからなかったが、某サイトによると、書き上げたマンガが不採用になってヤケになったらしい)絶望的になった昭は、悦子をレイプしてしまうが、浩一は、それをカメラに収めるのだった。
それが契機となったのか不明だが、二人はエロ写真売りになる。つまり、自分らを滅ぼしてしまう家、その中を写真(エロ写真)に撮って、しかも、それを売りさばいて生活できてしまう、という落ちである。ここで、浩一が好きだった、居酒屋の女、雀がいるが、本当の落ちはそこなのだろう。
桃井かおりさんが、桃井かおりになる前の、まったく、存在感のないただの美人俳優として登場するけど、本当に存在感がない。
点はそのまま。見て、面白いということはない。
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