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飛びだす 悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲の消費者のレビュー・感想・評価

3.7
・ジャンル
スラッシャー/ホラー/リベンジ

・あらすじ
スーパーで精肉係として働く女性ヘザーの元に届いた1通の手紙
それは既に死んだはずの祖母の訃報を伝える物だった
そして彼女は両親に詰め寄り自身が養子であった事を知る
実の祖母がどんな人だったのか、自分のルーツを少しでも知る為にヘザーはテキサス州の田舎町ニュートへ彼女の家の相続手続きも兼ねて訪ねる事を決意
元はハロウィンに合わせてニューオーリンズへと行く予定だったが彼女の想いを汲んだ恋人ライアンと親友ニッキー、その恋人であるケニーらと現地へ立ち寄る事に
そこに道中出会ったヒッチハイカーのダリルも加わり一行はヘザーの祖母ヴァーナの屋敷へ到着
厳重な警備が敷かれた大豪邸に盛り上がる友人達
しかし楽しいひと時は屋敷に密かに住み続けていたソーヤー家の生き残り、ジェディダイアによって脆くも崩れ去っていく
その後、ヘザーは一族の血塗られた歴史と向き合う事になり…

・感想
人皮マスクとチェーンソーでお馴染みの殺人鬼レザーフェイスとその家族の凶行を描くシリーズ7作目
3D作品として上映された今作は‘74年のオリジナル版の正統続編となっており後続作品やリメイク版の内容を無視したストーリーが描かれた
尚、当初は最終章として制作されたとの事
キャストにはヘザーの恋人ライアン役にR&B歌手Trey Songz、若き保安官カール役にクリント・イーストウッドの息子スコット・イーストウッドらが名を連ね、オリジナル1・2作目の監督トビー・フーパーに因みフーパーという名の保安官も登場する

シュールでカルトな世界観を持つ怪作として今尚圧倒的な知名度を誇るトビー・フーパーによるオリジナル1・2作目
コメディ要素を排除しシリアスで重厚な内容へと作品を変貌させたリメイク版と前日譚を描くその続編
どちらもそれぞれ違った良さがあるので今作はどんな方向性で来るのか?というのは些か不安な部分があった
というのもコメディ路線とシリアス路線はどちらもやり切った物と感じていたから
しかし今作はリメイク版と同様にシリアス路線でありながらもストーリーがまた一味違ったので十分楽しめた
殺人一家ソーヤー家の血筋にある事を突如知る事となる主人公、一家を滅ぼした自警団の残党達、あくまで倫理に則った対処を望んでいた保安官フーパー
三者の織りなす構造はまさにリベンジ物という感じで魅力的だったし何よりヘザーの下す選択が過去作のどれとも異なるのが良かった
世界観としては重厚感という面では劣るものの40年という長い時を経た終焉を描いているという事もあり「ハロウィン」の完結編に近しい物が感じられる

またゴア描写もリメイク版と並ぶくらいなかなかに残虐で豪快
中でもケニーの上下切断、ダリルの遺体の指と腕の切断、保安官マーヴィンの顔剥がし、町長バートのミンチなどは見応え抜群!
それでいてリメイク版と同じくレザーフェイスの知的障害にも触れられ、彼が家族愛を不器用に示すシーンには悲哀があってイイ
ラストもスカッとする物で悪くない

惜しい点としては舞台である町ヌートにおける自警団の残党達とソーヤー家の確執を軸としているにしては血塗られた歴史のジメッとした陰惨さがやや薄かった点
そこに関してはリメイク版2作の方に軍配が上がるかな
このストーリーで行くならもう少し衝突の発端である惨劇に至るまでの流れを露悪的に描いていればより奥深い厭さが演出出来ていたんじゃないかと思う

あとは登場人物達の人物像をもう少し丁寧描いて欲しかった
無理がある展開は別に無いんだけどそこもやっぱりリメイク版が凄かっただけにどうしても比較してしまう
とはいえリメイク版で見られた顔剥ぎからのマスク裁縫シーンはよりエグめに描かれていたりと勝っていた部分が無い訳でもないんだけども

あとついでに言うとカーニバル乱入シーンもキル数稼ぎに利用して欲しかった

総合的には作品として悪くない出来
オリジナルとリメイクどちらへのリスペクトも感じられたしこれはこれで好き
それだけにもう少し突き抜けた何かがあると尚良かったかも
「ホステル」や「ソウ」の様なゴアとサスペンス性を両立した内容を盛り込むとか
でもレザーフェイスが人間らしく描かれていて格好良さ、恐ろしさ、可愛らしさという過去作の様々な要素が組み合わさったキャラクターになっていたのは素晴らしかった
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