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静かなる叫びのsyuheiのレビュー・感想・評価

静かなる叫び(2009年製作の映画)
4.0
1989年に起きたモントリオール理工科大学虐殺事件を描く。全編モノクロ&フランス語。

77分の短編ながらヴィルヌーヴらしさに満ちている。最低限度のセリフ、派手さはないが上品な画面、日常風景を一瞬で破壊する銃撃音、惨劇のトラウマから立ち直ろうとする人、かなわなかった人、どれもが淡々と描かれる。

銃撃犯の男は偏執的な反フェミニストで、女性に対して見境のない憎悪を滾らせている。犯人は自殺するが、他のヴィルヌーヴ監督作品と同様、語りきれていないようなエンディング。わかりやすさを頑なに拒否しているかのよう。

女は男の築き上げたものを利用しているだけ云々という思い込みから犯人が銃を取る現実の一方で、インターンの権利を手に入れるために子供をあきらめる意志を表明せねばならない女性の現実や、女性にコピー機を譲ったために運命が変わった男性の現実がある。

銃撃シーンはモノクロとはいえショッキングなのでやや閲覧注意かも。

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