南森まち

スノーピアサーの南森まちのレビュー・感想・評価

スノーピアサー(2013年製作の映画)
4.0
地球温暖化を防ぐために散布した化学薬品によって、地球に氷河期が訪れた未来。残された人類が生き残るのは列車「スノーピアサー」の中のみ。その社会は前方車両に乗る上流階級によって支配され、後方車両の乗客は虐げられていた・・・。

ディストピア+スチームパンクという、SFファンにはたまらない設定。「パラサイト 半地下の家族」のポン・ジュノ監督のハリウッド進出+ヒット作品。日本ではあまりヒットしなかったようだが。2018年にスマッシュヒットしたゲーム「Frostpunk」の元ネタのひとつ。

ストーリーは強烈な設定に負けて出落ち感があり、クライマックスに向けて盛り下がってる感はする。舞台が幅の狭い列車内だから、やれることが限られていたかも。ポン・ジュノ監督特有の血なまぐさいアクションシーンも個人的にはキツい。主要な登場人物もちょっと多すぎる。もう少し整理して減らせたと思う。

・・・と文句を並べましたが、格差社会を表現した列車の中をひとつずつ扉を破って新しい車両に向かうストーリーはとてもワクワクさせてくれたし、雪の中を走るスノーピアサーの映像も美しかった。ラストシーンも示唆に富んでおり、観客に考えさせるものになっている。もっと日本でも話題になってよかった映画だと思う。オススメです。

上級階層である女総理役のティルダ・スウィントンが、すごく憎たらしい良い演技をしています。