女

セッションズの女のレビュー・感想・評価

セッションズ(2012年製作の映画)
3.5
こんな生々しいこと書くと引かれそうで怖いのだけれど。主人公マークに何度自分を重ねたかわからない。私はマークと性別が異なるし、身体は有難いことに自由だけれど、性と愛における未体験への恐怖・不安は、誰だって“不自由な感覚”そのものなのだと思うの。

図々しいことを書くと、実はそんなに入り込みやすい作品ではなくて。始めは、神父さんとのやりとり頼みなシーンもあって、うーん…ただ身体障がいということがフィーチャーされすぎな?印象をひたすら受けていたんだけれど、セラピーが始まってからが素敵でした。


初めて人に身体を触れられたときの喜びと驚きが静かに蘇る。セラピーを同時に受けているような。そして触れられたその手から終わりを感じたあの過去も、シレッと頭をよぎった。漠然とした喪失感。言葉じゃなくて感覚的に受け入れた別れ。

すごい珍しい題材を扱っているようだけれど、極めて普遍的な、みんなの愛のお話です。
手は動かないけれど、マークは自分自身のユーモアと言葉で、人生を輝かせたんだなぁ。
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