半兵衛

小さな悪の華の半兵衛のレビュー・感想・評価

小さな悪の華(1970年製作の映画)
3.5
厳格なカトリック信者である両親や一方的に厳しい掟を押し付けがんじがらめにするキリスト教による寄宿学校に反発して段々と同性愛や悪の魅力にはまっていく少女二人の危ういドラマは熟女好きの私にはさほど引っ掛からなかったけれど、フランス版『ロリータ』のような少女による下着やパンチラなどによるチラ見せの誘惑は危うさと溌剌とした美しさに溢れていて(本当に少女がセミヌードレベルで脱いでいる)草食系の人間でも襲ってしまうよう魅力がありそこにはクラっと来てしまった。これは上映禁止になるのも納得。そんな少女の誘いに我慢できず襲ってしまう男たちへの少女の「バッカじゃねえの?」と言わんばかりに性行為に至る前に逃げてしまう行為は男にしてみたら憤慨ものだけれど、少女にしてみれば男の欺瞞な紳士さを試しているのでしょうがないね。

それでも少女たちの危険な愛と生の生活は10代特有の危険さとその日楽しく生きることにこだわる心情が感じられて無下には出来ず、ほんのちょっと自分の青春を重ね合わせて(こうしたかったなという憧れや後悔も含めて)鑑賞してしまった。そういう意味では『仁義の墓場』や『ロックンロール・ハイスクール』のように10代のとき鑑賞していたほうがもっと感銘を受ける作品なのかも。

蝋燭の灯火と暗闇を生かした照明が妖しい美しさを帯びていて危険な世界を楽しむ少女の危ういドラマを美しく彩る。農場の干し草などに火をつけて遊び回る少女たちの美と危うさが入り交じった場面も印象的。

そして外の人間に自分の世界を侵食され追い詰められた二人が自分の心を守るためにとった行動が決まっている、これぞ二人の青春を永遠に続けるためのみんなへの宣言。そして清い心を守るために向かった行動が『夢野久作の少女地獄(映画版)』と似ているというのも面白い、もしくは『夢野久作~』の脚本を担当したいどあきおが参考にしたのか。

少女を演じる二人の女優も美しさも◎。
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