上海十月

ドリーマーズの上海十月のレビュー・感想・評価

ドリーマーズ(2003年製作の映画)
3.8
「革命前夜」を思い出しました。ベルトルッチがあの40年前に思った革命と青春を今、改めて再構築するとこうなるのかという感想です。シネマ・テークを拠点に映画を見まくっている青年は、イタリアからやってきたベルトルッチ自身を投影していると感じました。誰もがそうであったようにゴダールに傾倒しトリフォーに熱狂する日々。映画の中にも「中国女」ポスターがあるが、3人ともそこまで政治的でなく、性の世界に没頭し現実社会から隔絶していく。それは、まるで「中国女」のセクシャル版のようだ。マシューは、現実の世界へ戻っていく、革命の熱狂と青春は、一時的なモノであるという現実を抱いて。ベルトルッチは、悲しくも美しい5月革命と青春をそこだけ、凝縮して描きました。私には、もう一つの視点から、熱烈な信者から一転して決別したゴダールと60年代へのオマージュを感じました。セクシーな点だけ目当てで見るとがっかりしますから覚悟してみた方がいいでしょう。
上海十月

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