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情愛と友情のyukiのレビュー・感想・評価

情愛と友情(2008年製作の映画)
4.0
中流階級出身のチャールズ(マシューグード)がオックスフォード大学に進学し、上流階級出身でゲイ、さらにアル中のセバスチャン(ベンウィショー)に出会うところから物語は始まります。
セバスチャンの母は生きる聖人と言われるほどの厳格なカトリックで、セバスチャンや妹のジュリアは幼い頃からその教えを叩き込まれ、抑圧されて育ちました。広大な敷地にそびえるブライズヘッドと呼ばれるお屋敷に一家は住んでいて、チャールズは家に招待されてセバスチャンの家族と深く関わって行くことになります。
ストーリーはセバスチャン↔︎チャールズ↔︎ジュリアの三角関係で展開されていくのですが、その軸に「宗教」があり、自称無神論者のチャールズとカトリック一家の違いが様々な場面で浮き彫りになります。
セバスチャンとジュリアの母は子供たちを幸せにするのは信仰であり、人生とは今をどう生きるかではなく死後どこに行けるかなのだと言います。その信仰が子供たちを縛り付け苦しめていることを理解できないのです。チャールズが救おうと手を差し伸べても、見えない糸に引きづられるようにブライズヘッドに戻るハメになります。
だれかが悪いわけじゃないのに、誰ひとりとして幸せになれない、あまりにも悲しくて美しい映画でした。
ベンウィショーの出演作初めて見たのですが、脆く繊細なあやうさのあるセバスチャンを見事に演じていました。チャールズとの口付けのあと目を伏せてはにかむシーンがほんっっっっと抱きしめたくなる可憐さ…美しい映像と相まって、重い内容にも関わらず目の保養にもなる作品です。
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