ふくいいんちょー

なくもんかのふくいいんちょーのレビュー・感想・評価

なくもんか(2009年製作の映画)
2.0
ここまで酷い映画は久しぶり。

突飛で必要性を感じられない設定、浅すぎる伏線がてんこ盛り。
例えば、普段ストレスを溜め込み、週末だけは家族にも言わずに女装し心の底から笑いながらバーを経営する、なんて話は現実にもあり得るはず。「女装」、「バー経営」とまではいかなくとも、なんの法律も犯していないはずが社会的に築かれた規範の中で「人に言えない」秘密を抱え、それでもその秘密に救われている人は現実にも多いのでは。

しかしこの映画ではそれが発覚した時も、何もない。

それはこの映画がコメディだからでは?と思う人もいるかもしれない。この点も「コメディ」の割には「子どもたちの前で無理矢理キスを迫る」性暴力を想起させる場面がある。昨今映画を撮影する際、特にラブシーンで俳優に配慮をした撮影方法が検討されているしそれは子役についても同様。是枝裕和監督は映画「怪物」のインタビューでこの点に関して丁寧に語っている。映画「なくもんか」は既に15年前の映画だがそのような子役に配慮された撮影方法については知ることが出来なかった。上記の「女装」シーンの雑な脚本や扱いを思うと「大丈夫か?」と勘ぐってしまう。

このような「笑えない」シーンが続く。

また、「感動モノ」としても紹介されているがその中身は「お父さんと呼んでくれた」「兄ちゃんと呼んでくれた」みたいな擦られに擦られ尽くされてきた超ありきたりなもの。感動なんて出来ない。

宮藤官九郎の脚本が自分には本当に合わないのかもしれない。