ふくいいんちょー

アイネクライネナハトムジークのふくいいんちょーのレビュー・感想・評価

4.5
【縁はそこら中にある。気付かないだけで。】

(原作未読です。)

映画を見終わった今、非常に興奮している。

その理由は一旦置いとくとして、まずは映画の紹介から。
非常に面白かった。これは、恋愛を軸にはしているものの、日常の中に散らばっている『縁』の話ではないかと思う。それを心地よく感じさせるような、流石は伊坂幸太郎原作!と言える伏線や登場人物、台詞が散りばめられていた。

面白いのは、私たち観客とは違い、劇中の登場人物らは実は繋がっていた様々な『縁』に気付かない(実はこの人とこの人がこんなところで繋がっている、と気付かない)ままでいること。
作中冒頭で「出合いが無い」と主人公が嘆くのだが、気付いていないだけで『縁』はそこら中にあるのだ。こんな擦り尽くされたようなテーマをここまでの面白さ、独自性を持って表現しているところがこの映画のいいところではないか。

ところで、最近は(偶然ではあるが)原作が存在する邦画をたくさん見ている。趣味でこうしてレビューも書くが、時々、こうした映画は原作の面白さなのか、映画の面白さなのか、よくわからなくなる事がある。

今回もそんなことを思いながら映画の公式ページを覗いてみたのだが、映画の製作秘話を読んで驚いた。中学生の頃よく読んだ伊坂幸太郎、高校生の頃よく聞いた斉藤和義。この二人がこんな風に繫がってこの映画が出来たなんて!思い出してみると確かに『ベリーベリーストロング』の歌詞はこの映画そのものじゃないか!

奇しくも、上で述べたこの映画のテーマを自分自身、この映画の製作秘話を知ることで体感したのだ。それはそれはボクシングで脳天を殴られたように衝撃的に。

ああ、こんな体験をさせてくれるなんて、やっぱり映画って面白い!!