ふくいいんちょー

あんのふくいいんちょーのレビュー・感想・評価

あん(2015年製作の映画)
3.9
【現実の差別、社会問題に対して映画が出来ることは?】

ハンセン病と、その患者に対する差別を描いた作品。現実にある問題を魔法のように『解決』するような違和感のある描写は無かったが、逆にそれらの問題に対する希望も無かった。

だとすれば、(ハンセン病について知らない人は見るべきだとも思いつつ、)現実の問題を映画が描く意味はなんだろうかと考えてしまう。唯一希望があるとすれば、10代の若い学生たちが自分から学ぼうとするシーンか。

そのように書いたが、なんだか映画のラストはどっちつかずの結果を無理矢理希望に満ちたような描写に引っ張りあげる、所謂『打ち切り漫画』感を感じてしまった。この実在する問題に対する描き方と映画自体のラストの描き方にチグハグさを覚えてしまった。

また、同監督の『朝が来る』でも感じたが、これでもかというような接写での撮影と、暗い場面はより暗く・明るい場面はより明るく、の撮影方法が自分には合ってないのだなと感じてしまった。一つの場面を除いてそこまで成功しているようにも感じなかった。