げんきげんきばいばい

わたしはロランスのげんきげんきばいばいのネタバレレビュー・内容・結末

わたしはロランス(2012年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

この映画が恋の春、夏、秋、冬、と4部構成になっているように感じたのはロランスが恋人に向かって「AtoZへ」という書き出しで小説を出版しているという劇中のインタヴューの言葉から連想したせいかもしれない。出会いのシーンで終わるラストは四季がまた巡ってくることも思い起こさせる(しかしよく考えてみると秋の枯葉や冬の雪の描写のイメージが強いので見直したらまた違う印象を受けるかも)

そしてまた「わたしはロランス」というタイトルにある通り、ロランスは男でも女でも、ずっとロランスはロランスのままであるように感じた。彼自身は性別違和で苦しんでいるとしても、(もちろんその恋人や、家族も苦しむ)一貫としてロランスはロランスのままだ。性別によってロランスを構成する何かが損なわれているような気はしなかった。(少なくとも私には)
もしかしたらドラン監督は性別が個人のアイデンティティを構成するのに重要な要素であっても、それが全てではないというような事を言いたかったのではないかな?と思った。

あと彼の作品には、よく車内でケンカするシーンがあるように思う。車の中に二人きりというシチュエーションは、会話の存在がより浮き出され、会話によって関係が煮詰まるのを感じとりやすいからだろうか。本当にこの人は人のちょっとした感情を表現するのが上手だと思う。

余談ですが、ドラン監督、この作品には出ないのかな〜っと思ってたらパーティのシーンのワンカットで発見。この作品も音楽がすごく良かった。サントラが欲しい…