サラリーマン岡崎

わたしはロランスのサラリーマン岡崎のレビュー・感想・評価

わたしはロランス(2012年製作の映画)
4.6
トランスジェンダーの話でもあるが、どちらかというとアイデンティティの話。
性を転換したロランスに対して、
恋人が女性になる戸惑いと共に、自分に焦りを覚えるフレッド。
この映画はどちらかというとフレッドが主人公の話。
そして、好きになるのは性ではなく、人レベルであるということもこの映画の訴えているところだと思う。
LGBTの映画はたくさんあるが、心が女性だからといって、男性を必ずしも好きになるわけではない。それがもっと常識になって欲しいと思う。
ただ、好きな男性が女性になっても好きでい続けてしまう、でもそれは辛い。

多分、ロランスもフレッドもどちらも欲望に忠実だったんだと思う。
女性になりたいというロランスもそうだが、旅行中にずっと喋り続けてしまうフレッドも、
社会的には不倫になるが、結婚したフレッドにロランスが会いにいき、逃避行をすることも全てが欲望に忠実である様に思えた。
しかし、それを繰り返していると虚しくなるときが必ずくる。

最後にロランスが出した結論は、それ故に出たものだと思う。
トランスジェンダーという性の自己確立の題材を扱いながら、
性だけではない自己確立をしていく男女が少し大人になっていく話。
あと、ロランスのお母さんがとても素晴らしい件。