レインウォッチャー

メタルマンのレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

メタルマン(2008年製作の映画)
2.0
■RWと48の地獄㊶ あと7本!
奪われた体の一部を取り戻すため、RWは大晦日までに48の魔物を倒さねばならない!奴等は地獄映画の中に潜んでいる…

□戦績
えいがってほんとうにおもしろいな。
この手の作品を摂取すると、そんな原始の心に戻ることができる。

たとえばこの映画にしても、ストーリーのあらすじだけ説明すれば、

「ひょんなことからスーパーパワーを手に入れた青年が、両親の仇をとるため、そして恋人を救うため、悪に立ち向かう」
と言うことができる。

これだけなら「へえ、王道のヒーロー映画じゃん」だし、ジャンル的に好きな人は興味が湧くかもしれない。

ところが、当たり前ながら映画とは構成するいろんな要素の組み合わせでできていて、ひとつひとつの良し悪しと組み合わせ(相性や時流も)によって、同じような題材が名作にも駄作にも成り得る。その様はまるで、DNAの誤差レベルの差異によって、蛭子能収からミランダ・カーまでの多様性を生み出す人類そのもののように…

今作は、予算も技術もあらゆる面で絶望的に足りていない、自主制作感に満ち満ちた映画だ。『ジュラシック・シャーク』とか『デストイレ』に近いタイプの、「チープなのが逆に良いよね~」とか言ってられない階層まで降りた地獄といえよう。
果たしてコレを真面目に作っているのか、ギャグなのか?判別できない点も似ている。これみよがしな粗の数々にツッコむのは正解なのか、それとも思う壺なのか。某アメコミヒーローへのパロディ意思はあるのかないのか。隙だらけ過ぎて逆に達人に見えてくる現象が起きている。

しかし、やはり素面の常人では考えられない発想が時たま顔をのぞかせる。なにせ、上に書いたあらすじを内容に即して一段階補足するだけでも、

・ひょんなことから=博士がとにかく「時間がなかった」せいで
・スーパーパワーを手に入れた=変なスーツと一生一体化してしまった
・恋人を救うため=恋人と思い込んでる女を救うため
・悪に立ち向かう=背景に牛のいる牧場で殴る、蹴る

となり、単に「●●が足りない」だけでは説明できない異次元の歪みを感じることができる。
さらに、ラストの敵のやられぶり→エンドロール→ポスクレ(そう、ポスクレがあるのだ)では更にマッド(で唐突)な発想がここぞと畳みかけられ、そこには確かな《恐怖》が残る。

世の中には、ミヒャエル・ハネケとかイーライ・ロスとか、たくさん考えて様々な趣向を凝らして、怖いとか胸糞とか言われる感覚を生み出そうとしているクリエイターたちがいる。なのに、『メタルマン』は天然に近い90分一発で「圧倒的な異物に直面した恐怖」を再現してしまうのだ。

そう、だから「えいがってほんとうにおもしろい」。
ありがとう、メタルマン。二度と会わない、メタルマン。


□倒しかた
出演してるガールズはみんなやたらかわいい。逆になぜなんだぜ?

あと、音響も相当にひどい。前半はなんかずっと巨人が隣の部屋で腹を下してるみたいな劇伴が鳴ってたり、録音がバラバラで同じシーンでも台詞ごとに背景のノイズが入ったり入ってなかったり。聴覚診断に使えるかもしれない。


□分類
シン・クトゥルフ的地獄


□取り戻したパーツ
高橋洋子のCD


□次回予告
怪誤!アミュ●●メ●●・パ●●!
>>To Be Continued...