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センセイの鞄のtackyのレビュー・感想・評価

センセイの鞄(2003年製作の映画)
3.8
キョンキョンの「センセイ!」って言葉が、耳から離れないぐらい強烈である。

初見の時は特に感動しなかったが、20年の時を隔てて、自分が「センセイ」の年齢に近づいて向かっている今日この頃、改めて感動した作品だった。

だから、あくまで「センセイ」側からの視点で、老齢期の「恋愛」と「性」を考えさせられる作品だった。

原作からのテーマ、40前の独身で、仕事以外は毎日独りで居酒屋通いが日課、という女性の心理は上手く描かれていたし、キョンキョンの演技も素晴らしいのだが、むしろ「センセイ」の不器用だが、どこか愛される人柄を演じた、柄本明が素晴らしかった。

肝心の久世光彦の演出は、「時間ですよ」の頃から好きなのだが、樹々の枝越しのショットや、帰り道の影と光のコントラスト、キョンキョンを斜め上から美しく撮った構図など、とてもセンスあふれる映像の連続で、市川崑を敬愛しているだけはあると思った。

しかし、一番ビックリしたのは、全然似てないと思っていた、モト冬樹とエド山口か並んでいると、本当にソックリだった事だった。
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