tacky

祇園囃子のtackyのレビュー・感想・評価

祇園囃子(1953年製作の映画)
4.3
若尾文子の放漫的な行動に振り回される、木暮美千代の悲劇。
血の繋がりは無くとも、妹想いの姉の行動によって、若尾文子が、一人前の花街の女として生きる事に目覚めるラストは、清々しい。

ここでも、出てくる客の男は、身体目当てのロクでもない輩ばかりなのは、いつもの溝口作品と一緒であるが、むしろ「おちょやん」演じるところの、大女将の権力遂行の凄まじさに、漠然とする。
金と自分の保身の為に、花街全体にその日から出入り禁止の指示を出し、主人公を追い詰めるところなど、背筋が凍るぐらいに酷すぎる。

木暮美千代が、古い花街の生き辛さや、義理にがんじがらめにされて、好きでもない男に身を任せる辛さ。
それでも、不義理な若尾文子の実の父親が落ちこぼれて頼ってくると、金もないのに、時計などを差し出す健気さ。

この祇園の姉妹に、希望の未来がある事を願うラストシーンの、艶やかな二人の姿を観て、胸を撫で下ろした。
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