Toineの感想文

危険なプロットのToineの感想文のレビュー・感想・評価

危険なプロット(2012年製作の映画)
4.7
【団鬼六先生が人間の方向性についてSとMとNがあると仰っていました】
そう、Nは"覗き"の頭文字。

フランス映画の繊細な審美眼が好きです。とっても。
文学やどす黒い欲望を芸術として捉える視点が美しくてドキドキします。

今作はフアン・マヨルガの戯曲「El chico de la última fila」を原作にしたオゾンワールド炸裂の滅びの美学。

映画開始1秒で完璧すぎる構図が視界に入り視力が上がった気がいたしました。
目が幸せ。

ジャケットの人、同監督の「2重螺旋の恋人(2017)」と同じ方式のボーイッシュな女性だと思っていたのですがまさかの男の子でした!
名前はクロードくん。16歳。

性別に関係なく中性的な人の事が昔から気になります。
男女どちらにも属していなくて、逆に属そうと思えばどちらにもなれる自由な感じがするから。

オゾン監督が物語の現実と虚構の境目を曖昧にする構成も、中性的な人を主役にするのも同じ理由だと思うのです。

しかもクロードくん美少年で覗き趣味だなんてズルすぎる設定。
何かを企んでいるような顔と眼の演技が妖しくて良き。

クロードくん役のウンハウワーさんを検索したらオゾン監督が彼の頬にキスする画像が出てきてテンションが上がりました。
監督可愛すぎ!こういうのどんどんやって欲しいです。
更に視力が上がった気がする。
不意打ちで得した気分です。

キャストのファブリス・ルキーニさんとエマニュエル・セニエさんも好きなので拝見できて嬉しかったです。

作品の内容は洞察力のある国語教師ジェルマン氏が、教え子クロードくんの文才に魅入られ個人指導を行う内に泥沼にハマって行く麻薬患者の過程を観ているようなバディ映画でした。

人生を破壊されても麻薬は捨てられないのですね。
人間は自分にとっての快楽に振り回されたい生き物なのかも知れないなと思いました。
_à suivre.