鰤鰭

親密さの鰤鰭のレビュー・感想・評価

親密さ(2012年製作の映画)
3.8
シネマ・ジャック&ベティの濱口竜介監督特集上映「映画と、からだと、あと何か」にて鑑賞。

2011年が舞台だけど、00年代のような空気感。

濱口竜介の演出だとしても、役者の声(セリフ)が聞き取りづらいのは鑑賞体験として辛い。わざとなのか予算の問題なのかわからないけど、マイクが低品質なのか収録方法が微妙なのか、環境音に掻き消されてる。
映画の尺も含め、日々に忙殺される現代の社会人が合間を縫って観るにしてはハードルが高くなっちゃってて悲しい。濱口メソッドの抑揚のない長尺の掛け合いが、今回は聞こえにくさ&絵面の地味さと悪い方向にマッチしてしまい、集中力が続かずインタビューのところとワンカットで夜明けを歩くシーンで寝てしまった。詩の朗読も興味が持続せず、長尺でキツかった。
この雰囲気、少し吉田恵輔監督の『メリちん』を思い出した。

後半は舞台として普通に面白く観れたし、そこにカメラが入ってカットを割ることで生まれる映像的な面白い演出も良かった。

ただ、そこまで分かりやすく前半が後半の劇中劇に効いている感じはしなかった。これが前半をもっとノレる作劇にしておけば劇中劇を丸ごと一本観せる効果としてかなりの威力が出そうだけど(松居大悟監督の『アイスと雨音』とかがイメージとして近い)、意図してそういうエンタメ的な作りにはしていないのかな。
この辺りはどうしても全く同じような構造ながらエンタメとして分かりやすくクオリティの高い『ドライブ・マイ・カー』の方が観やすい。

世界設定としてもややフィクショナルになっていて、時間軸的にはこの後すぐ来るはずの3.11が来なくて、北朝鮮と韓国の戦争が勃発した世界線?

【鑑賞回数】1
【鑑賞履歴】
・2024/8/11 🎞️シネマ・ジャック&ベティ
鰤鰭

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