さわら

ばしゃ馬さんとビッグマウスのさわらのレビュー・感想・評価

4.5
安易なサクセスストーリーでなく、またラブストーリーでもない。それでいて、誰もが馬淵(麻生久美子)らに共感する部分があり、深く胸打たれる。「夢を叶えるのと同じくらい、夢を諦めるのは難しい」と泣き崩れるシーンがあり(今作のテーマでもある)、そのシーンは確実に今年度見た映画の中で1番心打たれた!映画って“自分自身を投影して見てしまう装置”だと思う。泣き崩れる馬淵に自己の体験を投影し不覚にも泣いてしまった、それはもうボロ泣き!そこ以外にも、この映画のディテールが素晴らしい。特に天童義美(安田章大)の描写。売れてもないのにサインの練習したり、つい集中できずにテレビに逃げてしまったりエッチな動画に逃げてしまったり…心当たりがありすぎて痛い。夢を叶える人がいるのは少数で、その過程で夢を諦める人は多数。当たり前のことだけど、それをメディアで描かれることは少なく、とても新鮮な気持ちで観れた。それと同時に旧友の前で強がったり、親には本音を言えなかったり、等身大でいることの難しさも感じた。これは紛れもない大傑作!鑑賞予定の無かった作品だが、掘り出し物とはまさにこのことである。オススメしてくれたレビュアーさんに大感謝したい。