ShunHattori

ゼロ・グラビティのShunHattoriのレビュー・感想・評価

ゼロ・グラビティ(2013年製作の映画)
4.5
アーサーCクラークの「幼年期の終わり」に書いてある[映画という文化の顛末]に現実がにじり寄っている事を感じさせる映画でした。

一個人の記録から始まった映画は、夢や憧れを再現するものとなって、大衆性を帯びて快楽、空想、妄想を沸き立たせるものになり、個人・集団が自身の主義、主張を訴える媒体になるといった文学、絵画等と同様の発展を辿っている事が当然となっている昨今。
このままこの映画という文化はどう発展をしていけば映画らしいといえるのか。
その顛末を「幼年期の終わり」では体験をさせることが映画文化の最終到達地点であり映画の終焉だと語っています。

もちろん僕は宇宙に行ったこともないし、想像こそするがそこにリアリティを感じることは無い。
他の映画を見ても感情移入はすれど体験を感じることは、未だありません。

もちろんこの映画が撮影をしている空間がリアルな宇宙ではない事は子供でも分かります。
しかし、そんな現実不可能な体験を観客に本気で体験させようとしたこの映画は、今後の映画の見方を大きく変えるのではないかと思う程のエネルギーを感じました。

後世に語られる作品というのはこういった今までの映画の見方や概念を変えてしまう作品なんだろうなと、僕は苦虫を噛みながら微笑んでしまう。

今のところ今世紀一番に映画館で観るべき映画です。
ShunHattori

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