煙草と甘いコーヒー

ゼロ・グラビティの煙草と甘いコーヒーのネタバレレビュー・内容・結末

ゼロ・グラビティ(2013年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

宇宙空間の物理現象のリアル
ライアン・ストーンの恐怖
ライアンにジョージクルーニーがたどり着いたときの「カッコよすぎて見つめて」
破片が当たって死んでいた宇宙服の人の顔の貫通&写真
宇宙船内で漂う屍体が女性に当たる前のおもちゃが宇宙空間に飛んでいくふり

二人のロープが切れたあと、ヒモでロープでギリギリ繋がるシーン

独特の映画
問題発生から、地球への帰還までの時間経過がほとんどスキップされない独特なつくり。ドラマの密度は最小限という印象。あとは宇宙空間でのトラブルを見てくれ、という感じ。一点、腑に落ちなかったのが、ライアンが夢の中であったマットとのやり取りで、生きる決意をするというくだり。

(以下ダイアンは正しくはライアン?)
マット「さ、出発だ」
マット「やあ、中国のステーションまで100マイル。日曜日のドライブだ」
ダイアン「無理よ」
マット「行けるさ」
ダイアン「燃料が空っぽなの」
マット「必ず何か方法がある」
ダイアン「すべて試した」
マット「軟着陸の逆噴射は?」
ダイアン「着陸するならね」
マット「着陸も発射も同じだ。訓練しただろ」
ダイアン「だから失敗ばかりって言ったでしょ」
マット「失敗から学んだ」
ダイアン「毎回毎回墜落したのよ」
マット「(遮って)聞けよ、地球に戻るのか、ここにいるのか、どっちだ?」
ダイアン「……」
マット「ここは居心地がいい」
ダイアン「……」
マット「システムを全部シャットダウして灯りも消す。目を閉じれば一人っきりだ。傷つける者もいない。安全だ」
ダイアン「……」
マット「生きる意味がどこにある?」
ダイアン「……」
マット「娘は死んだ。こんなに辛いことはない」
ダイアン「……」
マット「だが問題は、今どうするかだ」
ダイアン「……」
マット「いいか、生きて帰りたきゃ、逃げちゃダメだ」
   首を小刻みに横に振るダイアン。ゆっくりマットから顔を背けながら。
マット「もっと旅を楽しめ。その足で大地を踏みしめ、人生を生きろ」
ダイアン「どうやってここへ来たの?」
マット「信じられない話さ。……ダイアン」
ダイアン「なに?」
マット「地球に帰るんだ」
   徐々に大きくなってくる警告音の音。マットの方へ顔を向けるダイアン。と、マットはそこにはいない。夢だと気付き、苦しくて上がった息を整え、酸素の吸入を再開させるダイアン。

このダイアンの復活のターニングポイントが弱い気がする。
そのため、映像的迫力や宇宙的リアリティのインパクトが強く、観客は満足をしてしまうが、帰ってきたときの
「本当に、本当に良かったね」
という思いをライアンにいだけずに、軽い感じで終わってしまったように思えた。