ジェシー・アイゼンバーグら4人のマジシャンの、言うなればルパン三世一味的な活劇が見れるもんだと最初はワクワクしたのだが、そういう方向の作品ではなかった。
確かにあのどんでん返しによって、それまでの事件が一本のライン上に収斂される展開は巧妙だ。けれどもそれはあくまで脚本としての話で、映画として思ったほどのカタルシスがなかった。全体的にストーリーを追うのに手一杯で、キャラクターの個性や関係性を深く描けていないからだろう。トリックも大味で、してやられた感が薄い。催眠術便利すぎ。
すべてのキャラクターがネチネチと皮肉を言い合うタイプのアメリカ映画はよくあるが、本作はまさにそれ。このタイプ、いいと思えた試しがないがお国柄的にアメリカ人受けはいいのだろうか。
新米捜査官として必死に食らいつくメラニー・ロランだけが救い。手品を普通にキャーッと歓声を上げて楽しんじゃうの可愛い。それに、ブラウスにパンツスーツで決めたメラニー・ロランを拝めただけでじゅうぶん元は取れた気もする。
ストーリーの制約があるとはいえ、4人のマジシャンのキャラクターはもう少し肉付けできたはず。舞台では派手にやってんのにただの操り人形すぎた。
ナード役のイメージが強いジェシー・アイゼンバーグが痩せて髪型もワイルドでちょっと二枚目だった。