人は、受け入れたくない真実に対し、牙を剥く
彼女のような人の発言を、いったん受け止めて、自分の既存の考えと照らし合わせ、真実を見極められる柔軟性と、これまでを否定する勇気をもてるかどうか。
この映画を見ながら、ドイツやイスラエルではなく、今、自分が住んでいる日本のことについて考えさせられた。
この日本という国のどうしようもなさを見るに、この国には、そう言った声を受け止められる人がだいぶ少ないのか、端から聞く気がない人が大多数を占めているのか、メディアにもその声を捉える感度も感性も度胸もないとこがほとんどなのか、、、
原爆、敗戦、占領、米軍基地、地位協定、原発事故、なんやかや、、、
そんな、あれもこれもの大きなものを止めたり、見直したり、改めたり、ということをできたタメシがない国だということを、これからも性懲りも無く永遠と繰り返し続け、どうしようもないほど情けない国であることすら自覚症状も吹っ飛んでしまっているようで、なんでこんなにも対アメリカに対して卑屈なのかがワケワカメで、そんなこととは露知らずで一生懸命生きていることがメデタくもあり幸せでもあり、狂ってることに気づいていないという狂いっぷりに、ダッフンダ。
それぞれの国、それぞれの民族、それぞれの地域において、恐らく存在するであろう、ハンナのような発言者。それぞれのハンナ・アーレントの言葉を受け止め、考え、行動を変えることが出来るかどうか、、、
そこが問われているんだなと思わされた映画だった。
最後に、そんな彼女でも、やはり一人では戦えず、彼女の記事を理解し世に知らしめるという矜持を持ったメディアの首脳陣、そしてそんな妻を信じ抜いてくれる夫なくしては、成し得なかったということも、奇跡的な巡り合わせだったんだなとしみじみ思うのと、時を経て理解してくれる人々が増えていくということも、世界の素敵なところなんだなと思えた。