ジャン・ルノワール監督作品。
何がゲームで何が規則なのか自分には分からなかったけど、すごく印象的な作品だった。
多種多様な職業や立場の男女が一堂に会し、わちゃわちゃと好き勝手に暴れまわる、なかなかに騒がしいコメディチックな恋愛作品(?)。
登場人物各々に愛しがたい欠点があって、どの人物も手放して好きになれないところに生々しさがある。
特に印象的なのが、ルノワール自身が演じるオクターブという三枚目を絵に描いたような人物。
親友の恋を応援するような作中で最も良心的な人物かと思えば、結局クリスチーヌを口説いてみせるし、彼女と約束した後に彼女の気持ちを無視して親友に譲る形になるしで、彼の行動だけに着目すると一貫性がない人物に映る。
ただ、彼の視点に寄り添ってみると、元々彼女を好きであった彼の行動も十分に分かる気がしてきて、彼なりの一貫性があるように思えてくる。
この侯爵夫人のクリスチーヌも曲者で、彼女の本意(誰を好きなのか)もよく分からなく、行動に一貫性がないように映るが、彼女に寄り添えば「誰かに強引に略奪されるような愛情を欲している」という彼女なりの一貫性があるように思えてくる。
人物に与えるおおよその役割を逸脱するような、映画の型にはまらない突飛気味な行動を描きつつも、各人物にそれなりの行動原理を割り当てているところに本作の面白さと凄みを感じる。