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シンデレラIII 戻された時計の針のくるぶしのレビュー・感想・評価

3.8
シンデレラ1のツッコミどころを回収し、さらにプリンセス像の再構築までやってのけた続編の在り方として完璧な作品。

1作目が1950年だからね。2007年になって続編が作られるとは思わなんだ。

劇場にかける作品がヒットしなくなった所謂停滞期のディズニーはDVDスルーという形で過去の作品の続編を出しまくっていた。
普段劇場の映画を作っているとこではない部門(トゥーン・スタジオ)でバシバシ量産されてたことからも察せる通り、その多くはクオリティが低く、一種のファンサービスというか、キャラクター商売というか、そんな印象を持つものばかり。

しかし今作に関してはかなり、というよりか、ディズニープリンセスファン必見の一本となっている。
ディズニー作品のメッセージ性は歴史とともに、その写し鏡のように変遷してきた。昔のプリンセス像は当然のように受け身でイケメン王子と運命的な恋をしていた。
しかし、アラジンあたりから恋愛プロセスを描いたり、相手がそもそも王子じゃなかったりなど徐々に変わっていき、昨今では自立した女性の象徴として描かれるようになっていく。

基本的にプリンセスは次々と生み出され、過去の作品の姫は旧時代的価値観のものとみなされてしまうこともあるだろう。
ただ、今作においてシンデレラはありえないくらい動き回り、魔法の力に頼らず、夢を諦めないで何度でも立ち上がる。非常に自立していて、能動的に行動するプリンセスに描かれているのだ。
それでいてすごいのが話にほとんど違和感がないところ。脚本の構成に思わず膝を打った。

ディズニープリンセスの象徴である「シンデレラ」。
「シンデレラストーリー」という言葉があるように、そのイメージは固定化されているだろう。そんなキャラを現代風に再構築するというディズニーの度胸に脱帽だし、あくまで原作を貶さず汚さずリスペクトを持ったまま再解釈して見せた監督と脚本家に惜しみない拍手を心の中で送っている。

アナスタシアの本当はいい子感とっても好きだけど最後になんらかの救いというかそんなものがあってもいいんじゃないかなあ〜

3の後に2見たらアナスタシアの件はスッキリするかもね
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