Frengers

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマンのFrengersのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

 固定カメラで母親の家庭での所作を捉えていく。長回し多用なものの、時間が進むに連れ、ジャンプカットで飛ばしたカットや反復による微細な変化があり、音楽もセリフもほぼないこともあって緊張感が持続する。徐々に上手くいかなくなる家事、リビングでの青い光の明滅と同じ色の手紙、粗暴になっていく歩き方と靴音。キッチンにおける立て掛けてある皿を正面からとったまるで一枚に見える状態のものを何度も並べ替え、洗いなおす様はこの映画におけるカットの暗喩に他ならない。完璧にコントロールされていたものが一度亀裂が走ると元に戻ることはないというプロット自体、時間と映画の象徴でもある
 二日目と三日目のキッチンで使う銀のケトルにスタッフが反射して映っていたんだけど、少人数でカメラを回していたんだなぁと。長回しに耐えうる所作や表情、徐々に粗野になっていく歩行シーンなど主演のデルフィーヌ・セリッグには脱帽。
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