コミナミ

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマンのコミナミのレビュー・感想・評価

4.4
45歳ジャンヌの、16歳の息子との2人暮らしを淡々と描く200分。

それ以上でもそれ以下でもないんですが、すげぇ作品でした!

セリフはかなり少ないんですが、ジャンヌの何気ない仕草や行動から、彼女の心情が次第に浮かんでくるように思えました。
漠然とした孤独感や虚無感。

お皿の洗い方、食器を置いてる場所、生活に関係する全ての要素が彼女のバックボーンとして描かれているような気がして、小さいけれど壮大な映画です。
ここまで1人の人物にフォーカスし続けるのも凄いです。

定点のカメラワークが特徴的でした。
ずーっと定点。1ミリも動かないです。マジで。

これが結構厄介。ジャンヌ自身、同じような生活を毎日繰り返してるので、何回も見たことあるショットばかり流れます。同じモーニングルーティン動画をリピート再生するような感覚。このせいで脱落する人も少なくないと思います。

視覚的な変化が少なく、僕も中盤あたり結構しんどくなっちゃったんですが、僕たちの日常も大して変わらないんじゃねぇかなぁと思ったわけです。見ている風景って毎日同じような気がするし。

そんな新たな気づきを得た矢先ですよ、想像も出来なかったラスト。
繰り返し淡々と描かれる日常は、ここに向かうための助走にすぎなかった…

僕たち自身もスクリーンを通じて"見慣れてしまった"ジャンヌの生活と、それらから外れるイレギュラーな変化に触れた時に引っ掛かる感情。不穏な空気。
変わり映えのしない画面で、ジリジリと力を溜めたパンチに、気がついたらブン殴られていました。

200分ってめちゃくちゃ長いけど、その長さに意味があるんだと思います。
最後まで諦めずに観た者が味わえる体験!
早送りも途中停止もできない環境で観るべきです。

かなり好き嫌い分かれると思うけど、観る価値はあると思います!
僕はもう観ないです!観たくない!w
めちゃくちゃ良かったけど!
コミナミ

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