・一瞬たりとも見逃せなかった。英国映画協会発表の「史上最高の映画」第1位という順位が妥当かどうかはともかく、まごうことなき傑作と思った。
・あらすじなどまったく前知識なく観たけれども、冒頭すぐに主人公ジャンヌが何をやっている人なのか、最後どうなるのか予想できたけれども、ジャンヌの一つ一つの動作が素晴らしくまったく目が離せなかった。
・最初から最後まで(人間の視覚と同じ)50㎜レンズを付けた思われる正面からの長回しの定点撮影。入浴シーンも定点で撮るが、浴槽を洗うところまでそのまま撮っていて、ああ、そういう映画なんだなと。
・顔の印象はかなり変わっていたけど、セクシーな低い声ですぐにジャンヌ役は「ロバの王女」のリラの妖精だとわかった。
・彼女のアパルトマン、寝室にあるクローゼットとベッドがアールヌーボー様式、エレベーターや建物の共有部分がアールデコ様式なのが、ベルギーぽいところだなと。
・晩御飯の後、息子と夜の散歩に出るのがルーティーンってかなり変わってる。出発時間も決まってるし。散歩の行き帰りのシーンだけ撮られ、散歩中の光景がいっさいないのも不思議な感じ。
・ベルギー人の主食はジャガイモなのでジャガイモにこだわるのはともかく、曜日で献立が固定されているのは決まったルーティーンの中で生きている彼女らしい。
・ビーフカツレツをつくるとき、食卓に直に小麦粉をまいて調理したのは驚いた。ディナーにつかうスープ皿にパン粉、カフェオレボウルに卵をいれ調理。食器や調理器具のバリエーションが少ない家だ。
で、その同じ食卓で靴磨きするのは無いわぁ。(3日めの靴磨きのジャンヌの様子が既に変)
・3日目の赤ん坊がうるさ過ぎ。赤ん坊のこと大して好きでもなさそうなのに、繰り返しゆするのが怖いしうるさくてかなわん。
・シャンタル・アケルマン、どんな人生送ったら、25歳でこの作品を撮るようになるんだろう。信じられない。
・最初から最後までジャンヌすべての動作に目が釘付けになったのは、自分がInstagramやYouTubeの丁寧な暮らし系の動画を見るのが好きというのもあるのかもしれない。
・これまで観た中で本作に似た作品
ロバート・アルトマン「雨にぬれた舗道」(しかもカナダつながり)
ポランスキー「反撥」(こちらはベルギー女性つながり)