円(丸)と水で紡がれる官能の美、そして目を見張るような美しさのあの自慰シーン、塚本晋也監督の作家性を感じる。(鉄男もすごい)
黒沢あすか演じるりん子は題名の「蛇」(キリスト教的な手足を奪われ地面を這いずり回るようにされた)のような存在で、そこに六月、梅雨が恵の雨として、彼女に降り注ぎ、彼女の中に秘められた欲望が表出すると同時に男性社会的な抑圧からも解放されて、雨に打たれながら自慰をする。このシーンは映画史に残ると思うほど美しく神々しさすら感じさせる。
また、通して排水溝の円形や部屋の天井にある丸い天窓、カメラのレンズの丸など、円というモチーフを用いて曲線という女性らしい官能を象徴的に表現していると思われ、映像は白黒であるが青みがかった色合いなのが楽しい嬉しいと明るい感情が存在しないストーリーを引き立てている。