りっく

黒薔薇昇天のりっくのレビュー・感想・評価

黒薔薇昇天(1975年製作の映画)
4.5
動物の音声を繋ぎ合わせてエロテープを作るわ、ウェディングマーチかけながらローラースケートで連結させるわ、女優のシマリが良すぎてイッてしまった恋人に嫉妬した芹明日香が階段落ちするわでバカバカしさがドタバタ調で挟み込まれるのが神代の可愛らしいところ。

ファックしている時に人間は全てをさらけ出し、神にも動物にもなる。これはゲージュツである。シャシンはウソはウソのまま、ホンモノはホンモノのまま映るもんや、とブルーフィルムに懸ける自らの想いを吐露する岸田森は、当時ロマンポルノが猥雑なものとしていかがわしい目で見られていたことに対する神代自身の鬱憤だろう。

谷ナオミが和服をはだけさせ、映写機でスクリーンに投影されるブルーフィルムに恥じらい(そうですかぁ〜と連呼するのが最高!)、美しい裸体を暗闇に放たれる映写機の光でかろうじて見せる一連の演出は本当に見事。ゲージュツから、純粋に美しさに惚れ、互いに情事にのめり込む様。その美しさと、それをフィルムに刻み込むと躍起になる撮影陣の、情念と執念のぶつかり合いは、園子温監督作「地獄でなぜ悪い」の終盤を思い出してしまった。
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