原題より邦題が作品に合っている、あまりにも恐ろしい物語である。
脚本のコーマック・マッカーシーは、こちらも傑作コーエン兄弟の「ノーカントリー」と同じ原作者であり、この作品も追う者と追われる者を描いたクライムサスペンス。
金も地位もあるが、更なる欲望のため麻薬取引という裏社会に足を踏み入れてしまった者を待つ運命。
物語終盤、助けを求めた弁護士へ語られる助言
「今いる世界の現実を拒み続けるからだ」
「選択は出来ない、受け入れるだけだ。あなたの選択はもうずっと前に行われたのだ」
破滅を受け入れるしかない絶望感。
楽観的に始まり、事件が起こってからは追われる恐怖感で終始緊張が張り詰める演出は、まるで自分の事のように感情移入してしまう恐ろしさ。
俳優陣も話題作りに有名どころを並べた物とは違い、絶妙なキャスティングで素晴らしい。
ブラッド・ピットの最後のシーンは本当にヤバかった。
リドリー・スコット監督作の中でもかなり上位に来る傑作である。