イチロヲ

上海異人娼館/チャイナ・ドールのイチロヲのレビュー・感想・評価

3.5
主人(クラウス・キンスキー)に隷属している若い娼婦(イザベル・イリエ)が、上海の娼婦館にて凌辱プレイを受けていく。ポーリーヌ・レアージュ著「O嬢の物語」の完結編となる「ロワッシイへの帰還」を原案に取り上げている、エロティック・ドラマ。

大島渚監督「愛のコリーダ」と同様の手法を用いることにより、日本映画の制約を切り抜けている作品。結合部を写さないため、本番行為は不明瞭だが、性器描写は無修正になっている(ただし、海外版に限る)。

娼婦館に従事する女性とその周辺の人間模様を交錯させながら、性愛の多様性を説いていく。娼婦館のオーナー役を演じるピーターが存在感を発揮しているが、個人的には娼婦役の高橋ひとみ(寺山の舞台を経て、本作で映画デビュー)がベスト。

数多くの特別出演者が登場するため、飽きずに鑑賞することができるが、寺山特有の突拍子もなさが希薄であり、凡百のシナリオ展開を見せる。寺山修司と「O嬢の物語」の化学反応は、いまひとつ刺激が足りない印象。
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