主人(クラウス・キンスキー)に隷属している若い娼婦(イザベル・イリエ)が、上海の娼婦館にて凌辱プレイを受けていく。ポーリーヌ・レアージュ著「O嬢の物語」の最終章「ロワッシイへの帰還」を原案に取り上げている、エロティック・ドラマ。
大島渚監督「愛のコリーダ」と同様の手法を用いることにより、日本映画の制限を突破している作品。演者の下腹部が無修正であり、本番行為も登場する(ただし、海外版に限る)。そして、寺山の感性を活用した、シュールな凌辱プレイに大笑いさせられる。
原作は"主人のもとから引き離されて、娼婦にさせられた女性(=奴隷)"の物語だが、本作では"主人が奴隷を引き連れながら、倒錯を貪り尽くしていく"作風となっている。原作とは異なり、主人側の行動を描いているところが、寺山流のアレンジとなる。
娼婦館のオーナー役を演じるピーターが存在感を発揮しているが、個人的には娼婦役の高橋ひとみ(寺山の舞台を経て、本作で映画デビュー)がベスト。原作のエッセンスが薄まっている感があるけれども、特別出演者の顔ぶれを単純に楽しむことができる。