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夢と狂気の王国のchicaのレビュー・感想・評価

夢と狂気の王国(2013年製作の映画)
4.5
『風立ちぬ』制作を軸にスタジオジブリ、宮崎駿に迫るドキュメンタリー。

宮崎駿はもちろん、彼を取り巻くプロデューサーやアニメーターの仕事の流儀がわかり、とても興味深い。高畑勲のプロデューサー西村さんの話も含めて、今までよく知らなかったプロデューサーの仕事も何となくわかった気がした。


手書きにこだわり、一枚一枚描いて作って行く工程。途方も無い作業を確かに楽しみながら制作しているスタッフを見て、ジブリでアニメーターがやりたい人生だった…と思った。

今までジブリの作品を見ていて、最初のシーンから感動して泣いてしまうことが何回かあった。どうしてなんだろうかとずっと思っていた。

印象に残ったのは、宮崎さんがアニメーター達に話しているシーンで、所作についての話の部分。
私が感じていた、ジブリにしか無いキャラクターのまっすぐさはここからくるのかと確信した。一挙手一投足のアニメーションの元にキャラクターの性格を作り上げていく。だからみんな説明的でなく、生き生きしているんだな。

私は本当に今まで自分の見る映画ってものがどうやって作られているのか考えたことがなかった。見たものを当たり前に受けとっていた私は無知過ぎた。

アニメーションに限らず、作品としてこの世に出て私の元に届くことが、素晴らしい。全ての作品に対して、敬意を持たないとな、その上でこれからはしっかりと見ないとなと思うくらい、姿勢を変えるきっかけになった。



風立ちぬに関して今まで少し不満だったんだけど、戦争シーンはテレビ局から圧力がかかって描けなかったということや、零戦の描き方にまつわる苦労をここで知ることができたので、もう一度見直したいととても思った。

庵野さんのシン・エヴァHPにある文章を読んだり旧劇エヴァで感銘を受けたりしていたので庵野さんが次郎をやってくれてよかったし、庵野さんの声も今見たら違って聞こえた。

宮崎さんは未来の子どもたちのために映画を作ってるのか…

鈴木P「仕事は結局は誰とするかだ」
宮崎さん「会社とはダメになるもの。社員一人ひとりが自分のやりたいことをし、自分を成長させられるような団体でなければならない」
就活前の自分にとっては金言だった。
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