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夢と狂気の王国のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

夢と狂気の王国(2013年製作の映画)
4.3
アニメーション映画『風立ちぬ』(宮崎駿監督)、『かぐや姫の物語』(高畑勲監督)の2作品を同時に制作中だったスタジオジブリに、約1年にわたり密着したドキュメンタリー映画。宮崎駿、彼の先輩であり師匠である高畑勲、そしてふたりの間を猛獣使いのごとく奔走するプロデューサー、鈴木敏夫。この3人によって築きあげられた“スタジオジブリ”の真実の物語を、新進気鋭の女性監督・砂田麻美が綴る。
このドキュメンタリー映画は、宮崎駿、鈴木敏夫を中心に描かれていく。
キャラクターの振り返る時の目線の送り方など、細かくアニメーターに指示をしたり、自分の中の零戦の飛び方に縛られて零戦を描けなかったり、台本の代わりに絵コンテを描いている時の苦悩、師匠でありライバルであり仲間である高畑勲に対する「ハイジで彼はアニメの技術の全てを出した最高傑作だ」と賞賛したり「彼は人格破綻者だ」と貶したり矛盾した思い、「零戦をかっこよく描きたいけど描きたくない」「戦車や戦闘機は好きだけど戦争は嫌い」という矛盾した思いなど宮崎駿の素顔が、良く描かれている。「風立ちぬ」を通して、堀越二郎に戦闘機の部品を作っていた自分の父親と戦闘機は好きだけど戦争は嫌いな自分を重ねて描こうとしていた。アニメ制作中に、宮崎駿の父親に戦時中に救われた方からお礼の手紙が届いたエピソード、「風立ちぬ」の主人公堀越二郎の声を庵野秀明に抜擢した理由、鈴木敏夫プロデューサーや宮崎駿がマスコミなどに規制がかかり始めている時勢に危機感を感じていたなど興味深いエピソードが満載で、ジブリアニメが好きな人なら必見のドキュメンタリー映画。
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