単に“ロマンポルノ”とひと括りにするには惜しい、神代辰巳監督の実験精神溢れる自由度の高い演出が炸裂した最早アート映画的な手触りの快作。
いくらなんでもモザイクのかけ方はいい加減で、どうにかならなかったものかと思うが、終盤の砂浜での馬跳びからの絡みのシーンの高揚感は、どこかミケランジェロ・アントニオーニ監督の『砂丘』を彷彿とした。
絵沢萌子演じる映画館館主のおばはんの主人公(大江徹)への執着っぷりも凄いし(※終盤の追いかけるシーンのしつこさがヤバい)、中川梨絵の妖艶さも堪らない。
そしてまさに“濡れて沈みゆく”あのラスト…圧巻。