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ラスト・デイズのikoanのレビュー・感想・評価

ラスト・デイズ(2013年製作の映画)
3.6
あれ?結構面白かったんだけどな。スペイン産パンデミック物!屋外に出られなくなっちゃう病気?が蔓延!何しろ無理矢理外に出ると心臓発作で死んじゃうんだからさあ大変!っていう話です。
もし何々だったら?もし宇宙人が現れたら?もし隕石が落っこちてきたら?もしゾンビが発生したら?って設定で物語は作られるんだろうけど、もし外出できなくなったら?っていう突拍子も無い発想は無かったな。天晴れです。
こういう状況になるとハリウッド映画ではCDCの医師や元軍人とか凄腕の警官とかが登場して状況を打開しみんなハッピーっていう展開になるんですが、この映画は違います。主人公はフツーのサラリーマン。会社から出られなくなった彼が向かうのは恋人のもと、一緒に行動することになる相棒は自分の父親が入院している病院に向かうのが目的です。
うーん、地球規模のパンデミックというスケールの大きい設定なのに登場人物の行動原理は実に個人的なもの。スペイン映画、ハリウッドとは違います!
舞台はバルセロナ、やっぱり国家に頼る風潮はないようですね。
問題は自分で解決!
劇中登場する警察官も既に職業意識は全くない有様で国家権力という意識は有りません!
登場人物達は皆家族や所属するグループが行動の動機になっているようです。なんかスペインの歴史を感じさせられますよね。
さて、こんな発想無かったって言いましたが、実は同じスペイン人のルイスブニュエル監督が撮った「皆殺しの天使」も登場人物が外に出られなくなる映画でした。あっちは難解でさっぱり分かんなかったけど…。
「皆殺しの天使」もなんとなくスペインの歴史を皮肉ってるのかな?って思える映画だったけど…。
で「ラストデイズ」、最後まで自分達は外に出られないままな訳ですが、希望もあります!
次世代に希望をもたせ、旅立たせるエンディングは諦めと希望がないまぜにになってるスペインの状況そのまま、なんてね。
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