Angeprunelle

スーサイド・ショップのAngeprunelleのネタバレレビュー・内容・結末

スーサイド・ショップ(2012年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

本作に幸福を感じるか
それとも残酷さを感じるか。

パトリス・ルコント監督の作品は結構興味深くて
たびたび鑑賞させてもらうのですが
アニメーションは初鑑賞♡

前半は陰鬱なトーンが続きますが
話が進むにつれライトな雰囲気になり
最終的にはあの陰鬱さはどこえやらと思うくらい
解放感と幸福感に満ちたラストになっている✧

・・・だからこそ私にとっては
最強にブラックに思えてしかたがない。

幸福感に満ちたラストだからこそ感じる絶望。
前半の陰鬱な世界観に私は正直救われたし
なんというか希望にも似たものを感じたんだ。
けどラストにいくにつれ映画とは正反対に
暗い闇が襲ってきた。

だけど自殺を肯定はしないけど
否定もしないこのラストはとても寛大で
優しくて好き♡

人生苦しまずに楽観的に笑って生きるってのは
他人の痛みや苦しみや怒りを
考えない感じない見ようとしない
無神経さと図太さと薄情さが
ある意味必要なんだなと本作を持って 
証明していた気がする。

それゆえに青酸カリのおじさんのような人が
絶えないんだろう。

この世はあまりに残酷で
どうにもならない感情や
どうしようもない現実がある。
そういうものには非力な愛と憂いで
寄り添うことくらいしか出来ない。

けどそれが有ると無いとじゃ大きな違い。

笑って楽しんで長生きも立派だけど
苦しみきって悲しみきって傷付ききって
人を本気で愛して人を本気で思いやって死ぬのもまた
立派な人の人生なんじゃないかとなんとなく思う。

さらっと見ると実に単純過ぎて薄っぺらい
お子様向けのファンタジーにも思えるけれど
本気で作品と向き合えば実は毒々しくて
酷たらしくてシニカルでエッジィな作品だと思う✧

アニメーションでも変わらず心のひっかかりを持たせてくれて
憂いを感じさせてくれて
やっぱりルコントはルコントなんだなと思いました♬

ただやはり物語の全貌が明らかになる原作の方が
物語としては格段に楽しめると思います♡
腑に落ちない部分も解消出来るかも✧

本作はアニメーションを楽しむ分にはオススメです✧
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