停滞

渇き。の停滞のレビュー・感想・評価

渇き。(2013年製作の映画)
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加奈子(小松菜奈)とは?という深淵なる問いが血にまみれる映画。
この問いを考えると、加奈子が何をしたのかはいくつか明らかにされたが彼女がなぜそうしたのかということは直感的には分かりづらかった。それは行為の理由が言葉として出ていない、あるいは感情的な部分が全く表れていないからではないかと思う。現実世界ではそれらが出ておらずとも断片的な情報を頼りに何かしら合理的な事由を当てはめてしまいがちだが映画ではその情報が制限される、つまり加奈子のセリフとはほとんどが受け手の望む言葉であり、加奈子は鏡のようであり物語の促進剤であった。触媒とも言えようか。そこに小松菜奈というイメージの強さが合わさり幾重にも重なる膜で覆われた加奈子の内面には私は到底たどり着けなかった。

語りの構造は失われた消失点を求めて。桐島部活辞めるってよ、チワワちゃんなどと共通する。まぁサスペンスではよくあるか、逆に桐島・チワワが珍しいか。撮り方は兎に角カットが割られるが、それは現在と3years agoを短絡的に見せて切れ切れのイメージでリズムを刻んでいくというスタイルゆえか。カメラもまぁ揺れる、バレット・バレエと同じく途中で気持ち悪くなった。撮り方はよかった。それにしてもキャスト13人も知ってた驚き。。どの役者もハマってるというかバックグラウンドは分かりづらくも存在感があった。
橋本愛、主演の「ここは退屈迎えに来て」よりいい。清水尋也、初見はちはやふるだけどこっちの方が合ってるのでは。セトウツミの二人は、高杉真宙、気づかなかった、こんな役できるとは。葉山奨之、ほとんどそのまま、幅が広い。黒沢あすか、再認識した、冷たい熱帯魚、そして六月の蛇、最高。
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