原作の戯曲は素晴らしかった。戯曲、あるいは舞台を超えられるかどうかが勝負だったと思うが、個人的には、戯曲を読んで頭のなかに想起された世界には遠く及ばぬ映画だった。役者のリアリズムの芝居はとても良かったのだが、撮り方、編集などの工夫の点で映画を映画として成立させてラストまで支えきる力が欠けていたように思えた。ちゃんと「映画だからこそできる表現」になっていたかというと疑問で、結局舞台の方が合っていたのではないかという風に思わされてしまった。しかし、とにかく役者の演技、細かいセリフや演出などが最高で、笑えた。だいぶ笑えた。観て損はなかった。