うえびん

海の沈黙のうえびんのレビュー・感想・評価

海の沈黙(1947年製作の映画)
3.4
終わらないモノローグ

1947年 フランス作品

チクタクチクタク…
時計の針の音が
静けさを際立たせる

雪景色
暖炉の炎
瞳の輝き
モノクロの映像が
美しさを際立たせる

フランスの田舎町
老人と姪の静かな暮らしに
音楽と祖国を愛する
ドイツ人将校がやってくる

沈黙と言葉
フランス語とドイツ語
2つの対比が
言葉の響きを際立たせる

精神と暴力
柔と剛
創造と破壊
芸術と政治
人間社会の深化と業を
際立たせる

祖国を愛する心
故の敵対心
愛国者の父、敗戦の辛さが
息子にも受け継がれる

第一次世界大戦後
戦勝国はドイツに
酷い賠償を求めた
それが国民の窮乏を生み
ナチスの台頭につながった
「精神こそ危険、潰さねば!」

力による制圧は
ブーメランのように
新たな力による制圧を生み
自らに返ってくる

エスプリ
精神、霊魂、知性、才気

おやすみなさい
さようなら

沈黙の中に
フランス的精神が際立って
浮かび上がる
うえびん

うえびん